はじめに
不動産投資について調べていると、表向きは「成功体験」や「高利回りの物件紹介」ばかりが目につきます。ところが、実際のトラブルや失敗談はネットにほとんど出てこないと感じたことはないでしょうか。私自身も「情報が少ない=安心できる世界」だと思い込み、築古戸建に投資してみました。ところが現実は想像以上に厳しく、結局は損失を出して終わることになりました。今回はその体験を正直に共有しつつ、「なぜネットに悪評が出ないのか」「そこから得られた学び」について整理します。
私が体験した築古戸建投資
数年前、私は330万円で築50年の戸建物件を購入しました。仲介業者からは「生活保護の方をターゲットにしているので、空室リスクはほとんどありません」と説明されました。確かに家賃は月4万円程度で見込めると聞き、単純計算では利回り14%前後。表面上はとても魅力的に思えたのです。
しかし、現実は違いました。購入から半年以上経っても入居者が決まらず、ずっと空室のまま。しかも管理会社の対応は遅く、問い合わせても「人員が足りないので募集は2か月待ってください」と言われる始末でした。結果的に、家賃収入ゼロのまま固定資産税や火災保険料だけが出ていく状況が続きました。
結局、物件の売却を決断。売りに出した金額は240万円。購入時の330万円からすると約100万円の損失になります。短期間でこれだけのマイナスを確定させるのは精神的にも辛かったですが、「資金を遊ばせているよりはマシ」「信用できない管理・仲介との縁を切る方が大事」と考えての決断でした。
なぜネットに悪評が出ないのか?
私が不思議に思ったのは、「これだけ不満があるのに、同じような声がネットにほとんど出てこない」という点でした。調べても「不動産投資で失敗した」「高値掴みした」という体験談は断片的にあるだけ。では、なぜ不動産投資の悪評は表に出にくいのでしょうか。
1. 泣き寝入りする人が多い
数百万〜数千万の取引ですから、失敗しても「自分の判断だった」と飲み込んでしまう人が多いです。裁判を起こすにも費用と時間がかかり、回収できる保証もないため、結局は泣き寝入りになりがちです。
2. 名誉毀損リスクがある
「〇〇という業者に騙された」「悪徳業者だ」と書いてしまうと、逆に業者から名誉毀損で訴えられるリスクがあります。個人投資家にとっては、そこまでリスクを負ってまで情報発信するメリットが少ないのです。
3. 被害が分散している
不動産業者は広域で一度に大量の取引をしているわけではありません。地域ごとに点在する投資家が対象なので、被害事例が分散し、ネット上で「大きな炎上」になることが少ないのです。
4. 業者側の情報コントロール
Googleマップの口コミや掲示板に悪評が出ると、削除依頼を出したり、自作自演の良いレビューで押し流したりするケースもあると言われています。結果として、検索しても表面的には悪い情報が見えにくいのです。
今回の体験から得た学び
私はこの投資で100万円以上の損をしましたが、ここから学べたこともあります。特に大切だと感じたのは以下の点です。
1. 仲介と管理が一体化している物件は避ける
仲介業者と管理会社が実質的に同じグループにいると、オーナーは身動きが取れません。管理会社を変えたくても、仲介との関係で縛られるケースがあります。投資する際は「管理会社を自由に選べるか」を必ず確認すべきです。
2. 三為業者の仕組みを理解する
「第三者のために売買する」というスキームで、実勢価格より高く物件を売りつけられるリスクがあります。登記簿を見れば直前に業者が仕入れて転売していないか確認できます。契約前に必ずチェックしましょう。
3. ネットの情報を鵜呑みにしない
悪評が出ていないからといって安心してはいけません。実際には、投資家が声を上げにくい構造になっているだけです。現地でのリサーチや、複数の業者・管理会社から直接話を聞く方がずっと信頼できます。
4. 損切りは「リスク切り離し」と考える
私は今回100万円超の損をしましたが、これを「大きな授業料」と捉えています。小規模な戸建で学べたことで、今後の数千万規模の投資で同じ過ちを防げる。そう思えば必要な経験だったと考えられます。
まとめ
不動産投資の世界では、ネットに悪評が出ないからといって安心できるわけではありません。むしろ「出ない理由」が存在します。私は築古戸建投資で失敗し、100万円以上の損をしましたが、そこから「管理会社を選ぶ重要性」「三為業者の仕組み」「情報の偏り」など多くの学びを得ました。
これから投資を始める方には、私の経験を「注意すべきチェックポイント」として役立ててもらえたらと思います。そして、何より大事なのは「ネットに悪評がない=安全」では決してないという事実です。自分自身で確認し、信頼できるパートナーを選ぶことが、失敗を避ける一番の近道だと痛感しました。
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